AI 安全
Microsoft、5Bのアクティブパラメータを持つセキュリティモデルで脆弱性分析をルーティング、MDASHがCyberGymで95.95%を記録
MAI-Cyber-1-Flashは137BパラメータのスパースMoEだが、各tokenでアクティブになるのは約5Bに限られる。MDASHの処理の約9割を担い、難しいケースをGPT-5.4に引き渡す。Microsoftは新構成でコストがほぼ半減したとしているが、現時点ではAzure AI Foundryのプライベートプレビューでのみ提供され、ベンチマークも外部では再現されていない。

Microsoftは、同社初の自社学習によるサイバーセキュリティ特化モデル「MAI-Cyber-1-Flash」を発表し、汎用チャットAPIとして直接提供するのではなく、脆弱性分析エージェントシステム「MDASH」に組み込んだ。同モデルはMAI-Thinking-1の中間学習チェックポイントから派生し、まずMAI-Code-1-Flashを構築した後、サイバーセキュリティタスク向けにfine-tuningされた。アーキテクチャは総パラメータ数137B、各tokenで約5BのパラメータがアクティブになるスパースMoEで、context lengthは256K。
単一モデルのランキング以上に注目すべきなのが、deployment strategyだ。MAI-Cyber-1-Flashは、MDASHにおける脆弱性の探索・分析作業の約90%を処理し、最も難しい約10%だけをGPT-5.4に引き渡す。Microsoftによると、この構成はCyberGymで95.95%を記録し、Mythosを使用する構成を約12ポイント上回ったうえ、既存のMDASH構成と比べてコストを50%近く削減した。これは、サイバーセキュリティエージェントが、高価なモデルにコードベース全体をスキャンさせるのではなく、「小型の特化モデルが広範な処理を担い、frontier modelがロングテールの難問を処理する」というrouting architectureへ向かう可能性を示している。
外側のProject Perceptionは、処理をさらに赤・青・緑の3種類のエージェントに分割する。Red Teamは攻撃経路を探索し、Blue Teamは環境コンテキストと組み合わせてリスクを判定し、Green Teamは修正・強化策を提案する。エンジニアリング上の本当のリスクもここにある。評価環境は完全にオフライン化できるが、Green Teamエージェントが価値を生み出すには、実際のコードベースやdeployment pipelineへアクセスしなければならない。チームは正式版に、変更承認、least privilege、rollback可能な修正、完全なaudit trail、model routing logが用意されるかを注視すべきだ。
現時点の数値はすべてMicrosoftが提供したもので、CyberGymのスコアもモデル、MDASH harness、GPT-5.4を組み合わせた結果であり、MAI-Cyber-1-Flash単体の能力とはみなせない。モデルのweightも独立したAPIも公開されていないため、外部の研究者は現時点でコスト、recall、false positive rateを再現できない。8月3日のpublic preview開始後は、プロジェクトをまたぐgeneralizationと自動修正の安全性が、より重要な検証項目となる。