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匿名モデル「Ox Alpha」が1M contextを無料提供、ただしプロバイダーはプロンプトと出力を保持
Ox Alphaは、無料、長大なcontext、多モーダル対応のエージェントインターフェースを武器に、OpenRouterとOpenCodeでテストブームを巻き起こしている。一方、OpenRouterの現行ページには、匿名プロバイダーがpromptsとcompletionsを保持すると明記されており、初期にうたわれた「ゼロデータ保持」という説明を本番環境の判断材料にはできない。

OpenRouterの匿名プレビューモデル「Ox Alpha」は最近、エージェント開発者の間で人気のテストエンドポイントとなっている。現在、入力・出力ともに100万token当たりの価格はゼロで、context windowは約1.05M。コーディング、長期的なエージェントタスク、視覚コンテンツを組み合わせたワークフローを対象としている。OpenRouterは、自社はあくまでルーターであり、モデルの開発と運用は匿名を選択した第三者が担っていると強調している。アーキテクチャ、パラメーター数、学習データの出所、正式な製品名はいずれも公開されていない。[OpenRouterのプロバイダーページ](https://openrouter.ai/provider/stealth)が、現時点で最も直接的な公式記録である。
技術インターフェースはかなり充実している。公開情報によると、モデルIDは`stealth/ox-alpha`で、OpenAI互換API、Responses API、Anthropic Messages APIから利用できる。テキスト、画像、動画を入力として受け付け、最大出力は131,072 token。tool calling、structured outputs、推論状態の継続にも対応する。この仕様なら、大規模なコードベース、ドキュメント、issue、テストログを一度に投入できるため、OpenCodeやHermes Agentなどのワークフローへ急速に導入された理由も理解できる。ただし、コミュニティで広まっている10問のDeepSWEテストはサンプルが極めて小さく、既知のフロンティアモデルを上回るかどうかの判断材料にはならない。[AI Primerの技術解説](https://www.ai-primer.com/engineer/stories/ox-alpha-openrouter-release)でも、この結果はsmoke testとして位置付けられている。
より重要な変化は、データポリシーにある。初期の宣伝ではテスト時のゼロデータ保持がうたわれていたが、現行のモデルページには、匿名プロバイダーがpromptsとcompletionsを保持すると明記されている。約束されているのは、それらをモデルの学習に使用しないことだけで、保持期間は公表されていない。OpenRouter自体がデフォルトでコンテンツを保存しないとしても、下流のモデルプロバイダーも同様にZDRを採用しているとは限らない。OpenRouterのドキュメントでは、クライアントが`provider.zdr: true`を指定し、ゼロ保持のエンドポイントだけにルーティングするよう強制できる。条件を満たせない場合、リクエストは失敗する仕様である。[OpenRouterのZDRドキュメント](https://openrouter.ai/docs/guides/features/zdr)では、この二層のポリシーの違いが説明されている。
したがって、Ox Alphaは公開コードや合成データを使った互換性、長大なcontext、tool callingの実験には適しているものの、非公開リポジトリ、認証情報、顧客記録、規制対象データを入力すべきではない。今後、エンジニアはプロバイダーの身元が開示されるか、モデル固有の利用条件が統一されるか、無料提供期間の終了後に価格と容量がどうなるかに注目する必要がある。それまでは、提供元が匿名であることとデータが保持されること自体がデプロイを阻む条件であり、単なる法務ページ上の細部ではない。